下町の老舗タクシー【新卒採用「面接はタクシーでやります」】

 採用面接といえば、静まりかえった会議室で、面接官とは物理的にも精神的にも距離を感じる間合いで行われるのが定番です。
「緊張させたって仕方ない、どうせならウチにしかできないことを」とタクシー車内で面接を始めるタクシー会社があります。

その名も「互助交通」(東京都墨田区)です。
現在、約160人のドライバーがハンドルを握っています。

 現在人材募集中で、応募があり次第、タクシーを使っての面接が始まります。

中澤さんは始める理由を「会議室の重い雰囲気じゃなく、移動している空間っていう特別な環境で面接することで、話しやすくなるのでは」といいます。

「面接タクシー」で使用される予定のロンドンタクシー。レトロな雰囲気で特別感を味わえる

採用面接で運行する予定のロンドンタクシー

 面接は自社のドライバーが運転するタクシーに、面接官を担う中澤さんと入社希望者が乗車して行われる予定です。
錦糸町の社屋から出て、スカイツリーを回って東京駅に送ったり、学生の帰路にちょうどよい駅までドライブしたり、運行ルートは臨機応変に考えているそうです。

 
 面接の環境づくりというのは、古くて新しい課題。
車に乗っていれば緊張しない訳ではありませんが、ちょっとだけ肩の力は抜けるかもしれません。

◇「面接タクシー」に乗ってみた

 「面接タクシー」で使用する予定なのは、ロンドンの街でおなじみのクラシカルなブラックキャブ。運転席と助手席の他、後部座席は向かい合わせで4人乗ることができます。

「想い出タクシー」としても運行しているロンドンタクシー

 記憶に残るタクシーを運行したいと、2015年から同社で導入し、通常の業務にも使用されている車です。
入社希望者が進行方向を見るように、面接官と向かい合って面接を行います。膝が当たるほどではありませんが、結構距離は近いです。
左側、進行方向向きに入社希望者が座り、向かい会わせで面接官が座る
 珍しい車体だからか、信号待ちでは歩行者と目線が合います。「タクシーだと思われないこともあるよ」と中澤さんはいいますが、「やっぱりかっこいいって思うのは、ロンドンタクシーだね」。
 
 下町の、面倒見が良い「おじさん」たちが集まってるけど、新事業にも前のめり。古き良き価値観と柔軟な発想が混ざり合う会社が、錦糸町にありました。
運転が好き、人とコミュニケーションを取るのが好き、自分の時間を持ちたい……「タクシー運転手」はそんな気持ちのある人の、選択肢のひとつになり得るかもしれません。